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銀河ヒッチハイクガイド ダグラス・アダムス著

世界の終りは、こんな風にやってくるのかもしれない、と思った。
ある日突然、上空に自然法則を無視したでかさの船が浮かぶ。と同時に、世界中のあらゆるラジオ、テレビ、カセットレコーダーのスピーカー、窓、車、空き缶までが音響的に完璧な共鳴版に早変わりする。
『こちらは銀河超空間土木課です。すでにお気づきでしょうが、銀河外縁部開発計画に基づき、この星系を通る超空間高速道路の建設が不可欠となりました。まことに遺憾ながら、地球は取り壊し計画のひとつになっています。工事は2分足らずで完了の予定です。以上』
どこかの誰かがその音響の周波数を調べ、抗議をしたらしき間がある。
『いまごろ大騒ぎして何になる。設計図も破壊命令も最寄の土木建設課出張所に張り出してあっただろう。アルファ・ケンタウリの出張所に地球年にして50年も張り出してあったのだから、いまごろ文句を言うのは遅すぎる!』

かくして地球は滅ぶ。一瞬にして。誰もアルファ・ケンタウリの場所を知らないままに。
だが、ひとりだけかろうじでこの一瞬の騒ぎを抜け出せた地球人の男がいた。彼の15年来の友人が実はペテルギウス惑星出身で、彼は「銀河ヒッチハイクガイド」(かの有名な「ギャラクティカ大百科」よりも売れてる!)のライターでもあったのだ。彼、フォードは、地球人最後のひとりとなったアーサーを連れ、地球消滅寸前に「ヒッチハイク」して宇宙へ旅立つことになった…。

すごーく読みたかった本で、それをオトート1号が持って来てくれたときは狂気乱舞した。数年前に映画になって、合わせて再文庫化された。初版は1979年というから、既に古典SFの部類に入るのだろう。シリーズとして6作出てて、現在2巻目以降を古本屋で探しているところだ。
のっけからクスクス笑わされる。抱腹絶倒、ではない。ずーっと「クスクス」してる感じ。(ご承知のよーにあたしは通勤電車が読書時間でもあるので、傍から見てたら相当怪しかったに違いない) 
「笑い」の規準は難しい。だから本書も「誰でもみんなおもしろいはず」とは言えない。そのあたりをどう説明していいやら…。
例えば、こんなシーンがある。アーサーが見たこともない機器類に囲まれ、何が何やらさっぱりわからない計器の中に、ものすごーく「押してください」と言ってる(としか思えない)ボタンを見つける。押してみる。途端にパネルが点滅し、警告が出る。
『2度とこのボタンを押すな!』
……それだけ。あとには何も起こらない。何のボタンだったかも説明されないし、アーサーも詮索しない。そもそもこの3行にどんな意味があるのかさえわからない。そういう「ノリ」なのだ。

一部ではいまだに根強いファンを持つドラマ(?)、『モンティ・パイソン』が好きかどうか、が分かれ目かもしれない。アメリカコメディではなく、イギリス発の、皮肉でちょっと乾いた「クスクス」笑い。『ミスター・ビーン』も近いのかな。
あとがきに「奇想天外なアイディア、意表を突く展開、深遠な真理の探究、と3拍子揃っている古典SFの傑作」とある。古典とはいえ、古さは少しも感じさせない。ま、地球が無くなってしまったのだからそれもそのはずだけど。
地球が消滅したのと時を同じくして、銀河帝国大統領の就任式がある。と言うと凄そうだけど、この銀河帝国大統領は「単なるお飾り」で、仕事は「権力をふるうこと」ではなく「権力から目をそらさせること」だ。かくしてとても適任な、『何も考えないで行動した方が絶対うまくいく』と言う、かなりいい加減な男が大統領となり、それがアーサーとフォードのコンビに絡むことになる。

ところで本書に出てくる「銀河ヒッチハイクガイド」は、よーするに「いかにお金をかけずに銀河系を旅行するか」のハウツー本みたいなモンなんだけど、そこに出てくる「地球」の項目が笑える。つーか泣ける。
「ほとんど無害」。
で、地球消滅後はどーなったかと言うと、「無害」のひとことのみ。だって「たかが4光年先の土木課出張所の張り紙を見に行くことすら出来ないよーな人種」なんだもん。しょーがないよねぇ。

吉祥寺の古本屋では本書は2冊あったけど、続巻はなかった。悔しいので探すつもりだ。
今日は「えんじん」の仕上げとコピーと買い物とその他もろもろで終わった。YGが好きなチョコはホワイトチョコだとゆーので、ここ数日探してるのだけど、コレだと思うモノがない。今日、スーパーに行ったら105円の板チョコが79円だったので買ってきた。このまま渡すか溶かして作るか。後者にするようがんばるか。
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by yukimaru156 | 2010-02-09 00:36 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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