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告白  湊かなえ著

先週あたりに読了してたのだけど、何だかわたわたと日々を過ごしてて書くことができなかった。読み始めたら殆ど一気読み。友人から『デビュー作とは恐るべし!』という感想をもらってたというのもあるけど、この映画の予告を観たとき、“うっわー、観たいー、でもその前に読みたいー”と思ってたのだ。

シングルマザーである中学校教師の4歳のひとり娘が、校内の無人のプールで溺死体となって発見される。事故死としてこの件は落着したが、そうではない、娘はこのクラスの生徒に殺されたのだ、という女性教師の衝撃的な「独白」からこの小説始まる。犯人探しか?と思いきやそうではなくて、彼女は名前こそ伏せているものの、明らかにそれが誰か、ということがわかる言い方で教師生活最後の修了式を締めくくる。つまり、とんでもない爆弾を投下したまま、彼女はその後のクラスを見届けることなく学校を去るのだ。これが序章。
そして第2章で、そのクラスのひとりの女子の視線から「クラスがどうなってしまったか」が語られる。担任の愛娘を殺した犯人は2人。ひとりはそのまま不登校になり、もうひとりは平然と、と言うよりは「人殺し」の汚名を甘んじて受けるように登校を続ける。彼を遠巻きに眺め、黙殺していたクラスメイトたちは、やがて正義という名の暴力をふるい始めるようになる。新任の熱血教師はこれに気づかず、ただひたすら不登校になった生徒を気にかけ、そしてそれがもうひとりの犯人でもある彼をさらに追い詰めてしまう。次第に荒れていく教室と、熱血教師の「KYさ」、その様子が何ともリアルというか、不気味だ。

話はやがて、不登校になった少年の母親、そして登校を続ける少年自身、と次々にバトンタッチされていき、それぞれの心情が語られることで事件全体がよく見渡せる。それでも「殺人は殺人」であり「復讐は復讐」でしかない。犯人の少年たちそれぞれが抱えていたもの、愛娘を殺された教師の、ある意味殺意より恐ろしい、冷たい決意。復讐が果たされたことで溜飲がさがるわけではない。彼女もそれは充分承知しているわけだけど、「それでも敢えて復讐者となる聖職者」である彼女の言動からは、哀しみよりも先に「復讐者となった悦楽(あるいは快感)」すら感じ取れる。

この小説がおもしろいのは、ただ単純な復讐モノではなく、それぞれの言い分や想いや、事件が起きるまでの過程、そして「本当の要因など簡単にわかるものではないのだ」という、読者自身が出す結論だろう。もちろん事件の全容も、犯人もわかっている。でもそれだけでは単純に割り切れない「何か」がある。たとえそれがどんなに些細な事件であっても、だ。
ハッピーエンドではない。だからこの結末で後味の悪さを覚える人もいるだろう、たぶん。それでもあたしは“っあー、おもしろかったー、タダ者じゃないなー、この作家はー”と楽しめた。

さて今日は。DMをひととーり書き終えて、カッパ展の準備とガレージセールの準備の両方に目配りしつつ、夜はそば屋。まいった…なぜこんなに忙しかったのか謎だ。ものすごぉ~く追われて、終わったあとはへろへろになった。もー、このスピードについてくのが精一杯だ。そんで、復帰したYDちゃんの辞意を知り、その後を思うとくらくら…彼女が去るのは痛い。マジで。昨日でSK君も去ることになったので、“そしてまた新人を入れるのか…”と思うだけで頭が痛い。
あたし、ここに長くいすぎたかなぁ。とかちょっと考えずにはいられなかった。
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by yukimaru156 | 2010-07-02 02:14 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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