実践!装画塾修了装丁展
外苑前駅から歩いて3分ほどのそのギャラリーは、ちょっと殺風景な路地のどん詰まりにあるせいか人気もなく静か…と思いきや、ギャラリー内はすごい人でまずびっくり。さして広くないせいもあるけど、最終日だからってこれはすごいなと思ってたら、3時からトークショーがあるからのようだった。時刻は2時ちょい過ぎ。なるほど。
まずは作品を拝見。この展示会は、装画塾(週1回、3か月の講義で、『ともかく課題をこなすのに精一杯』とJKさんが言ってた)の生徒さんたちの修了展。「人文」「ビジネス・実用」「文藝」の3つに別れ、それぞれの本に相応しい「装丁」を手掛けることを実践させる塾だ。生徒さんたち(3つの分野に3名づつ)は、まったくの素人ではなく、雑誌やポスターなどの絵を手掛けてたり、カットを描いてたりするのだけど、それらの仕事と「装丁」とはまた別モノなんだよね。本を読み、それに合う、そしてかつ「手にとってもらえる」ような絵を描く。ただ好き嫌いで判断されるような「イラスト」ではないあたりが難しいと思うけど、同時に『毎回(の講義で)目からウロコが落ちる、先生の言葉にはっとさせられる』刺激的な日々でもあったらしい。(トークショーでは生徒さんたちの感想も聞けるのだ)
ギャラリーには原画と合わせて、実際にその絵でどんな本になったか、という「表紙のかかった本」も陳列される。(中身は白紙だけどね) タイトルと著者名が入り、コピーの入った帯が付けらて、実際に本屋に並んでいてもおかしくない本ばかりなのだけど、そこに至るまでの試行錯誤っぷりもラフやイラストファイルからよくわかるのでいろいろ興味深かった。イラストレーターとして活躍してる人も、「違う手法」や「やったことないアプローチ」で苦戦したようだけど(JKさんはこれまでの貼り絵をやめて色鉛筆で描いてた)、そこに「参加する意義」があったんだろうな。
『これまで自分がやってきたことに対する自負からの脱却(否定ではなく)、著作の解釈、そして習い覚えたものすべてを注ぎ込むことが必ずしもいい結果になるわけではない、ということを知る』
のが塾の目的だと先生はトークショーで言っていた。(あたしよか年下なんだけど、言うこともっともでさすが前線に立つ人、て感じだった) 装丁と装画の関係ってなかなか密接でおもしろいと思う。いま、出版を取り巻く状況は厳しいようだけど、同じ(?)「紙」に携わる者として応援したくなった。
トークショー中に土砂降りになり、終わったころに雨もやんで、ちょっとした打ち水状態の街中を喫茶店を探しててくてく。探すのにも疲れて(まっくもすたばもみんな禁煙だ)電車に乗り、最寄り駅まで戻ったところでむかーしバイトしてた喫茶店に入った。やっと一服できてほっとした。
触発されたわけではないのだけど、8月展示の作品作りに着手する。といってもまだまだ序の口で、ホントにこれでいいのか迷うのだけど。明日はもっとちゃんと気合い入れよう。