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  風が強く吹いてる  三浦しをん著

発売されたころから気になってはいた。好きだった爆風スランプのヒット曲「ランナー」にある一節は「風はいつも強く吹いてる」なのだ。あれとカンケイあるのかないのか。彼女は爆風を好きなのかどうか。あの曲を知ってるのかどーか。ま、どーでもいい話ではあるのだけどさ。あたし自身は「ランナー」より「涙の陸上部2」の方がずっと好きで、でもどっちにしろ「走る人」の歌だなー、と思ったり。つか、走るって行為そのものが「青春」だよねぇ。

ズブの素人と言っても過言ではないメンバーが大半の10人で、弱小どころか存在すら知られてなかった寛政大の陸上部が箱根駅伝を目指す。何つーかもー、それだけで内容がわかってしまうよな作りではある。メンバーの確執とか友情とか、駅伝の凄さ(あらゆる意味で)とか、無事襷を繋げることが出来るのかどうか、とか。
わかってて読み始めたのは、これを『しをん作品のイチ押し』とする人が何人かいたからだ。そーか、だったらちょっと読んでみようじゃないの。そんなキモチで読み始め、思ったとーりの展開であるにもかかわらず後半からは一気に加速して読了。駅伝が始まってしまったら、メンバーの故障とか病気とか(駅伝は10人で走るので寛政大では誰も欠くことが出来ない)、ヒヤヒヤさせられることも、でも何とかなるのだろう、てこともわかってるのに読み終わるまで手を放すことが出来なかった。

走ることが何よりも好きで、だからこそ「規則や上下関係に縛られたくない、学校や監督や両親からの期待に応えるためになんか走りたくない、タイムも関係ない」と考える蔵原走(かける)。ただ走り続けたいと願う彼の願望に応えるかのように現れた、夢物語としか思えない箱根駅伝へ誘う清瀬灰二(ハイジ)。彼がねぇ~、ほんっとにイイ奴すぎるとゆーか、こんなに人心掌握術上手くてこれからどーなんの、てくらい「人をその気にさせる」のが上手いのよ。最初は軽いノリで付き合ってた連中も、個々に即した練習メニューや、ここぞとばかりにかけられる言葉のひとつひとつが「やる気」を引き出すのね。彼自身もまた走者なんだけど、欠点なさすぎ。ハタチの学生でいるかよ、こんな奴、と思うのだけど、でもいなくはないよな、たぶん。
大学ンとき、何つーか「人を見る目」てのがある先輩がいて、委員長とかしてたんだけど、傍から見てても"この人ってよく見てるよなー"と感心してた。抑制しないと暴走するとか、叩かないとやる気にならないとか、追い込んだらダメになるタイプとか。

勝負事は(ホントはだけではないのだけど)、とかく根性論や気合いとか精神力とかで語られがちだ。もちろん日々の鍛錬の上に。で、その鍛錬の前後に関しては「自分でどうにかしろ」となる。根性の出し方も気合いの入れ方も人によって違うし、当人ですらわからないことが多いのに、それも含めた精神論で突破せよ、みたいな切り口になる。だからそこに反発したり混乱したりしてしまえば、あとは崩れてくしかない。
「無能な軍隊というのは存在しない。無能な指揮官がいるだけだ」
てのは確かアメリカの諺だけど、スポーツであれ仕事であれ、要は上に立つ者次第、だよなー。

駅伝は「究極の個人競技にして団体競技である」という言葉があった。確かにその通りだと、読んでて思う。襷をつなぐこと。ただそれだけを主軸とした個人競技。信頼しているから渡す、渡された者はその想いを引き継ぎ、そして繋ぐ、団体競技。不思議なスポーツだ。だからこそ、人をこんなにも見了する。ドラマのない駅伝などないことを知ってるから。
心臓が破裂するとか思うような苦しさ、なぜ走るのかという疑問。そしてそれらを乗り越えた者だけが見ることのできる世界。憧れない人なんているのだろうか。出来る出来ないの話ではなく。

読了して、あ~、やっぱいいわーと思いつつ、あそこんとこはもー少しとか、監督ってホントにすごい人だったのかなとか、灰二って名前はねーよな(少なくとも陸上の英才教育を施す親が付ける名前じゃあない)、細かいツッコミはいくつもあるのだけど、よかった。「しをん作品の一番」かどーかはわからないけど。

皮膚科でもらった塗り薬がカラになってしまったのでもらいに行った。前回の処方箋に「ケース代 50円」とあったので、カラケース持参で50円浮かせようと思ったら受付の人が苦笑しながら『先生が詰めますのでそれは捨ててください』と言った。だったら50円とか書くな! つか、どー考えてもこれ50円もしないっしょ。1週間分のはずが3日で使い切っちゃったのだけど、これがあと半年も続くようならどんだけカラケース積むことになるんだか。

思いがけず読書の日となってしまったので、猛省。明日こそはちゃんとする!







(;・∀・)
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by yukimaru156 | 2017-01-17 02:09 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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