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  三度目の殺人  2017年 日本

「正義は勝つ」というのは正しいと同時に間違ってもいる。なぜなら「正義が勝つ」のではなく「勝った人が正義」だからだ。あるいはこうも言える。「正義と悪の闘いというのはない。あるのは、自分が正義だと思っている者同士の闘いだ」。
とまぁ、どっかで聞いたようなこと書かせてもらったけど、この作品は単なる法廷モノとはちょっと一線を画す…とゆーか、これが「法廷」なんだけど、「正義が勝ってすっきり」ではない。(だから「すっきり」したい人にはオススメではない) 弁護士が「闘う」のは悪ではなく、また正義のためでも、もっと乱暴な言い方すると真実のためでもない。「本当は、真実はどうだったのか」は、裁判では「どうでもいい」。弁護士も検事も、「勝つ」ために戦略を練り、戦術を駆使し、少しでも有利な方向に行けるよう奔走する。なぜならそれが「仕事」だから。『あんな男の弁護をする必要はない』と言われても弁護するのはそれが「仕事だから」だ。

『弁護士も検事も裁判官も同じ舟に乗っている。司法と言う名の舟に』
という台詞があるが、その通りで、だからこそ敵対しているかのように見える弁護士と検事も膝を突き合わせて「今後の流れ(裁判の進むべき方向)」を裁判官も交えて話をするのだ。そこに違和感を覚えるようでは、ちょっとドラマの見過ぎとゆーか、「正義」に期待しすぎだ。

人を殺して30年服役した男(役所広司)が、雇い主である工場長を撲殺して死体を焼き、あっさりと自白する。「死刑以下」の判決をもぎ取ることが「勝利」である弁護士(福山雅治)がこだわるのが「強盗殺人」ではなく「殺人、窃盗」。この2つは同じように思えて全然違う。怨恨等の「動機」があって「殺人」、そして財布を取る「窃盗」であるなら、私利私欲のため(と判断される)「強盗殺人」より量刑は軽くなる(可能性がある)。
真実がどこにあるか、というのはどうでもいい。人は「信じたいと思う方を信じる」から。裁判員を、裁判官を、いかに納得させるか、心証をどう動かすか。裁判とは「そういうものだ」という揺るぎなさで生きてきたであろうエリート弁護士の仮面が、二転三転する供述に翻弄され、崩されてくさまが何ともおかしく、そして哀れだ。かつて自分があてた刃が見事に返され、己の立ち位置さえ見失い始める彼は、おそらく裁判ののち、以前のエリート弁護士には戻れない。

冒頭に書いたように、結末も判然としないとゆーか、すっきりはしない。ただ、観てていろいろ考えさせられるのは確かで、司法の在り方とか、ホントに本当の真実は誰のためにあるのか、そこにどれだけの意味があるのかとか、そゆことをね、あれこれ思うことになる。わかりやすくはないし、結論が出るモノでもないのだけど、まぁキライではないかな、こゆのは。(好きってわけではないのだけど)

事件そのものに関して、ちょっとツッコミたいとこもあって、そこ崩すとどこがどうなるんだ? とかマジで思ってしまった。夜の河川敷で死体を燃やすのだけど、あんな真っ暗の中でどうやって「工場まで戻って石油持って戻って来れたのか」とかさ。財布にガソリンの染みがついてたのだけど、てことは「石油まいたあとに財布抜いた」んだよね? となるとあとで『自分は殺していない』の説明(目撃者はおらず、自白のみ)と矛盾する。そこはどーなんだ。うーん。

正直、あたしにはその良さがわかんないんだけど、ハハはどーもフクヤマが好きらしい。あのカオがか? てことで『観たい』に付き合ったのだけど、ハハにとっては「あんまり…」だったよーだ。残念だぁねぇ。
帰宅してすぐどーぶつ病院。連休明けってことで結構混んでた上、とっくに診察終わってから『何度電話しても夜間救急に繋がってしまうので…』て理由でにゃんこ連れて来た人がいて、「だからそのための「夜間救急」だろーが!」と思ってムッとしてしまった。診察終わったからってそれは「終わり」ではなく、入院中のわんこにゃんこ診てるんだぞ。泣くくらいなら夜間救急行けよ! と思うんだけど、センセはちゃんと診てあげてた。えらい。でもホントにやめて欲しいと思う。朝から立ちっぱのセンセが10時過ぎてもまだ終わらない、帰れない、てことに対してどう思うんだ? カンゴシさんだって残業じゃん。こゆ人ばっかじゃないにしても、割り切れない気分になるわぁ。







( ̄ー ̄)



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by yukimaru156 | 2017-09-20 01:37 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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