2017年 05月 10日 ( 1 )

ダイナマイトは、硬質な岩盤を砕くためにダイナマイト氏が考案したものだ。それによって鉱山での作業ははるかに安全かつ楽なものになり、トンネルを掘って人の往来が可能なようにもなった。彼は考えたこともなかっただろう、それが街中で「人を殺傷するための兵器」として使われることになるとは。
観終わったあとに、なぜかふとそんなことを連想した。(映画はダイナマイトとは全然カンケイないですよ、もちろん) 人が何か画期的なものを開発する。それはとても有意義であると同時に、「意図したことと異なる使い方」も可能になる。では、その使い方はいい、でもそれはダメだ、という線引きはどこで誰がするのか。それは本当に公正な判断のもとに行われているのか、公正であるか否かの判断は誰が出来るのか。

2013年、あるアメリカ国籍の若い男が「史上最大の内部告発」として、CIA(中央情報局)、NSA(国家安全保障局)が『世界の情報のすべてを監視している』と発信する。かつては特殊部隊に所属希望の軍人でありながら(てとこがすごい)、故障により断念、得意なIT分野で「国を守る」と誓い、CIA、NSAに所属してその素晴らしい頭脳を発揮するのだけど、「テロを未然に防ぐため」に開発したはずのそれは、「世界最大の監視システム」として機能するようになる。ありとあらゆる情報が1点に集中し、国家機密から個人情報まで隙間はない。アメリカ国内だけの話ではない。世界の、なのだ。
『9.11は我々世代の責任だった。次の9.11が起きたら、それは君たちの責任だ』
その言葉に従って進めた開発が、テロとは無関係に生きている一般市民の生活すら脅かすものになる。PCに映し出される、ドローンの攻撃によって破壊された建物。その建物は本当にテロリストのアジトだったのか? 中にいたのはテロリストだけか? 「その情報は正しい」と判断したのは誰で、その精度はどのくらいなのか。

つい先日観た『アイ・イン・ザ・スカイ』と比べずにはいられない。「情報の精度」に対して、誰もが執拗に口にし、目の前の「それ」が確実であることを知ってもなお、引き金を引かせることに躊躇した政治家たちの方がはるかに良心的に映ってしまう。軍人も、市民を巻き込むことには躊躇し、苦悩する。それがない(ように見える)のがアメリカで、だから怖い、と思う。本当はイギリスでも同様なのかもしれないし、アメリカでもドローン攻撃を安易に行ってるわけではないのかもしれない。つまるところ「真実」はわからないのだ。「戦争による最初の犠牲者は真実だ」という『アイ』の冒頭で掲げられた言葉通りに。
全世界が監視されてるから何だ、それで安全が保障されるならいいではないか、自分はテロと無関係なのだから、と思う人が多いのではないかと思う。

で、冒頭に戻る。つまり「使われ方が正しいか否かの判断をするのは誰だ?」て話。その監視システムは、正しい使われ方をしているのか。それを判断しているのは誰か。個人情報を改ざんされても、その修正は難しい。一度拡散した情報がすぐに手に負えなくなるのは、周知の事実だ。安易な書き込みから窮地に追いやられた話はいくらでもある。ネットで「つぶやいたことない」人でも「つぶやかれることはある」し、それが真実かどうかなんてのはもう誰にも判断できない。「言った、言わない」の世界と同じで、不毛な堂々巡りでしかないのだ。

実はあたし、この映画をちょっと勘違いしてた。実在のスノーデンが出演したドキュメントのタイトルは『シチズンフォー』であって、あたしはそっちを観るつもりでいたのだ。こっちはストーン監督なのだけど、あまり好きではなくてねぇ、彼。それについて書くとまた長くなるので控えさせてもらうけど。(つか、すでに疲れてきたのでもー終わりたい…)
『シチズン』の方の評価がどれほどのものか知らないのだけど、『スノーデン』のレビューを読むと「両方見てやっと納得」な出来ではあるらしい。スノーデンが告発するために選んだインタビュアーが誰で、どういう経路で、てことはこの映画では全然わからないしね。ロマンスも大事な要素ではあったけど、ちとくどいし。

彼の大告発も、4年後のいま、どれだけ功を期してるのかわかりにくい。あの頭脳がロシアにある、てのも薄ら怖い気がしてるしさ。アメリカ(国籍は無効になってる。帰国すればスパイ容疑で即逮捕だ)が彼に対して今後どうするか、てのは大統領次第なのかねぇ。いまの彼かい、と思うとまた怖い。
良すぎるオツムは、人格を無視されることが多い。良からぬことに使われる可能性もでかい。てことは、歴史が証明してるよなー。人類は、いつ賢くなれるんだろか。






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by yukimaru156 | 2017-05-10 02:41 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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