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犯人に告ぐ

07年 日本
ハハが原作を読み終えたら一緒に観ようねぇー、と言ってた映画で、ハハが先日読了したのでチチがリハビリで不在の今日、ゆっくり堪能した。
原作本の帯には既にトヨエツの写真があり(つまり映画では彼が主役)、『犯人よ、今夜は震えて眠れ』という台詞が入ってるので、原作を読む時点で実は“これがトヨエツかぁ、結構似合ってるかもだなぁ”という先入観で読んでしまう。だからなのか、映画でも全然異和感はない。いちお、彼の肩書きは「捜査部長」だからあの長髪は「らしくない」のだけど、その理由ってのがちゃんとあるのよ。それは本を読んでればわかるのだけど、映画ではまったく触れていない。上の連中がその髪型についてとやかく言うシーンもない。のがまず不満。理由を知らなくてもそこは突っ込むところだろ、とゆーか。「劇場型犯罪に対して劇場型捜査で挑む」という、警視庁としては異例の、そして初の試みであって、だから「見映えがしていい」などとのたまうテレビ局の人間もいるのだけど、そゆこととは関係ないのだよねぇ。別に長髪で犯人を挑発してるわけじゃないんよ、念のため。
でもちょっと突っ込みたくなるのは、その長髪、やけにパーマかかってないか?彼(巻島)は「敢えて伸ばしたままにしてる」のであって、オシャレでパーマかけてるのと違うんだぞ。

ま、そゆことはともかくとして、上下巻のぶ厚い本を2時間かそこらの映像にまとめるのはいろいろ無理もあるわけで仕方ないのだけど(細かいとこ端折ってたり、背景が説明しきれてなかったり)、それらを割り引いても“やっぱ原作には叶わないよな”と思ってしまうのは、緊張感が欠けるからだろか。
「劇場型捜査」として、巻島は毎週テレビニュースに生出演して視聴者に情報を募る。そして連続児童誘拐殺人事件の犯人を挑発する。『お前の言い分を聞こう』と。
やがて送りつけられる犯人からの手紙。それに応える巻島。最初、巻島に対して好意的だった視聴者は、そのやり取りから『犯人側により過ぎてるのではないか、犯罪者に対して甘いのではないか』と批判的になっていく…このあたりがさらに巻島を追い詰めたりするのだけど、映画だといまひとつ伝わってこないんだなぁ。上司たちも巻島を全面的に信頼、支援してるわけではなく、「失敗したら彼のクビを飛ばせば済むこと」と冷ややかだ。自分は傷つかないという打算もある。(だから自分たちではなく巻島を出演させたのだ) 背水の陣を敷かれ、自分自身も甘んじてそれを受け入れて挑む、劇場型犯罪…実際の捜査のスリリングさに加えられるこの妙味が原作の持ち味なんだけど。

ま、だからと言って駄作ってほどではなく、原作を読んでなくても充分楽しめる。と思う。画面が暗い、とハハがぼやいてたけど(真っ暗闇でもちゃんと人物の表情くらい捉えて欲しい…邦画ってときどきこういう「ヘタさ」が出るよなぁ)、そういうとこで損してた映画でもある。
ラスト、“ここであの台詞を言わせればいいのに!”みたいな、ちょっと説明不足のシーンもあって、それも勿体なかった。それがあったら、もっと締まったいい映画になったかもしれないのに。

でもって今日はそば屋で、数日前から読んでた、我孫子武丸の『弥勒の掌』を読了した。んん~。確かに宣伝文句通り、意外な結末ではあったのだけど、その過程がねぇ…主人公2人のどちらにもまるで共感できないあたりがあたし的にはちと退屈で、帯にある「K書店おすすめ文庫第一位」は“ホントにそー思ってんのかよぉ~”と突っ込みたくなった。この作者の『人形はこたつで推理する』とか、あと何だか忘れたけど(ゲームソフトでは「かまいたちの夜」が有名ね)、そゆ方が好みだなぁ。
ここんとこ、ちょいと本を外してる気がするので、絶対外さない(とあたしは思ってる)、ジョナサン・キャロルの『薪の結婚』を読むことにした。既に数ページでもーわくわくだ、嬉しい。
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by yukimaru156 | 2010-02-19 01:47 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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