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信長  坂口安吾著

「小説の題材としては戦国時代が一番おもしろい」のだそうだ。二項対立ではなく、群雄割拠し、情勢は流動的で、中部の織田、今川、武田、上杉、中国の毛利、四国の長宗我部、関東の北条、東北の伊達に至るまで「誰が天下を取ってもおかしくはなかった」時代。確かにその通りで、この頃を題材にした本を、と思えばいくらでも手に入る。

安吾作品は短編をいくつか読んだだけで、「堕落論」すら読んでおらず、ましてやこの『信長』は、手に取るまで存在すら知らなかった。こういうのも書いてたんだー、と思ったほどだ。まぁ、『桜の森の満開の下』を始めとした時代モノを何冊も書いてるので、不思議じゃないのだけど。
「尾張の大タワケ」「うつけ者」「かぶき者」と言われ、自由奔放で何物にも囚われず、格式も慣習も嫌い、由緒ある出自であることに頓着しない一方で、15歳にして「戦国の世」をしっかり見据えてもいる。読みながら、本当にこういう人だったんだろな、と思える。史実は変えられないけど、「そのとき何があったのか」は作家の知識と空想に委ねられるところが、時代小説の醍醐味だろな、と思う。

戦後「無頼派」の代表格と呼ばれてただけあって、その文体は時代小説っぽさに欠ける。最初は(特にカタカナの使い方が)馴染めなくてちょっとしんどかった。「ミジン(微塵)」とか「カッコウ(格好)」「レンラク(連絡)」とか、なぜここは漢字ではないのだろー?と思う字句がやたら出てくる。「サヨナラする」とか「タソガレであった」とかも「?」だし、信長が妻の濃姫に『や、失敬、失敬』なんて言うのは、もー時代小説の時代そのものが違うよな、と突っ込みたくなるんだけど、文体に慣れてくるとやっぱりおもしろい。信長自身の魅力もだけど、敵味方が入り乱れ、勢力図がころころ変わり、どの家(城)も火種を抱えてたりして、どこの城主も安穏と過ごせてたわけではない。時代そのものが激しく動いてる中で、いかに生き残るか。「天下を取るかどうか」ではなく、嫌でも巻き込まれる政争にどう対応していくか、なのだ。
いやぁ、大変だったろーな、この頃の男たちは。まぁ、いまの企業内紛や吸収合併だのリストラだの、終身雇用ですら覚束ない現代もさして変わらないっちゃー変わらないか。殺される心配はないにしても、中高年の自殺者はものすごく高い。てことは「生死に関わってる」問題なんだよね。

本書は今川義元との桶狭間の戦いまでを描く。おもしろかったのだけど、惜しむらくは、政略結婚した濃姫の影がどんどん薄くなってくことだ。父親に『あの娘には角も牙も爪もある』と称される、信長に対しても決してひるまない、魅力的な女性だったのになぁ。そこのとこがちょっと残念だ。

今日は、ちぎり抜いたチラシと抜かれたチラシの両方を貼る「オンリーワンカード」を作ってた。1枚500円とちょっとコーカなポストカードのだけど、「どのチラシからどうちぎったのか」がわかるので、まずまず好評らしく、ふと気がつくと残数もわずか。だったので15枚ほど完成させたのだけど、半日かかってしまった。チラシ選別から始めるとねぇ…ちょっと高いよなぁ、と思うのだけどやっぱりこの値段でごめんなさい、だ。

明日はこの3、4日間とは10度近い気温差になる、25度だとか!ひょえぇ~。でもお洗濯日和、お掃除日和だな。そば屋3連勤だけどがんばろっと。
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by yukimaru156 | 2012-04-24 00:46 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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