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  お熱い夜をあなたに  1972年 アメリカ・イタリア

あたしはあまり監督名で映画を観ないのだけど、その名前で“ちょっと観たいな”と思わせる人が数人はいる。本作のビリー・ワイルダーもその1人。軽快なテンポと小気味よい会話、ただ数分、目に留まるだけの人物にもちゃんとスポットが当たってて、隅々まで配慮が行き届いてる感じ。派手に笑うシーンはなくても、きっちりツボは抑えられていて、くすりと、あるいはにやりと口元が緩む。役者たちが真面目であればあるほど「おかしい」というのは古今東西一緒かな? 

映画は、37の傘下企業の頂点に立つアームブラスター航空グループの社長の突然の事故死に、息子であり副社長でもある男(ジャック・レモン)が急遽イタリアへ駆けつけるところから始まる。冒頭の、ジャックと見知らぬスーツの男とのやり取りが観てる側に「?」なとこからして笑える。理由は不法なものでも何でもないのだけど、ここからすでに監督の術中にハマってしまうのが何とも快感だ。
火曜日には21万6千人の系列社員と有線テレビの前で立派な「社葬」をしなくてはならないのに、到着は土曜の午後。イタリアの昼食は4時までで、遺体が安置されてる役所(教会?)が開くのはそれ以降。空輸のための手続きやら何やらがやたらある上、『明日は日曜なのでお休みです』とか、『空輸可能な棺がありません』とか、療養に来てたはずの父はなぜか女性同伴で、しかも「10年前から毎年彼女と訪れていた」ことがわかったり、父親と一緒に亡くなった女性の娘(ジュリエット・ミルズ)が現れ、あったはずの遺体が消え、事態はよもや収拾不可能なのでは、とすら思える展開。

でもきっちり収束する。すべての伏線をきれいに使って。(ここ大事。あたし的には「いい映画」の大前提) 用意されてた素敵な結末にいい気分になり、いい映画だったな、と思える。個人的には同監督、同主演の『アパートの鍵貸します』の方が好きだけどね。
最初に軽妙洒脱な会話が素晴らしい、みたいなこと書いたけど、実は「無言のシーン」も同じくらい好きだ。検視官のまるで儀式のような見事なまでの書類捌きっぷりとか、ボーイたちが無言で立ち尽くし、何か言いたげなまま無言で去るとか、そんな物語には何の関係もない人やシーンにくすぐられ、それが楽しかったりする。上手い監督だわ、やっぱり。40年以上前の映画だけど、古さはどこにも感じられない。これも「いい映画」たる条件のひとつになるのかもな。

今日は早番で(意外にも人はそれなりに来た)、帰宅して昼ご飯のあとすぐ出かけた。雪は霙混じりで積もってはいなかったけど、午後には交通機関も危ない? みたいな予報だったしね。ホントはハハが行く予定だったんだけど、こんな中で出かけさせて風邪ひかれたり転倒されても困るしさ。(とは言え、午前零時過ぎのいま、雪はやんで星が出てるので「どってことなかった」になるのかな)
チチはまたまた寝ぼけてたけど、映画の話とかしたら乗ってきて、一番好きなのは『西部劇』とゆっておった。お気に入りはジョン・ウェインとジュリアーノ・ジェンマなのだそーだ。へへぇ~。あたし、リチャード・ウィドマークとか好きだったんだよね~と言ったらば、知らないと言われてしまった。J・ウェインとJ・ジェンマ以外に挙げられなくて「西部劇好き」とか言うのか?
ま、いーや。戻ってきたときに一緒に観られるよう、録画しとかなきゃな。CSでやってくれるといいんだけど。
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by yukimaru156 | 2015-02-06 00:30 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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