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  人類が知ってることすべての短い歴史 上下巻  ビル・ブライソン著

人は、自分が暮らしてる星に対しても、自分自身が属するヒト科に対しても、こんなにも「知らない」ものなのか! と驚嘆してしまう。それに尽きる本だ。と同時に、よくこれを書いたな! てのと、誕生日に「普段買わない類の本を買う」ことを課して、本書を買った自分を褒めたい。これほど多分野にわたってあらゆることを語りつくし、かつ、「いかに自分(たち)が何も知らないか」を教えてくれる本はないと思う。
何からどう書けばこの本のおもしろさを伝えることができるのか途方に暮れるのだけど、まずは訳者あとがきから抜粋させてもらう。

旅行記作家である著者は、何を思ったか突然、科学の世界への探検旅行を試みた。選んだ乗り物は「好奇心」。「宇宙はいつ、どうやってできたのか(できる前はどうなっていたのか)」「地球の重さはどれくらいか(だいたいどうやって測るのか)」「原子は何でできているのか(それに、どのくらい小さいものなのか)」「細胞や遺伝子の中では何が起こっているのか(そもそも何かが起こるとはどういうことなのか)」などという深遠にして根源的な大疑問の数々を引っさげて、一線級の大学者や在野の研究者、好事家の門を叩き、世界各地の博物館や史跡を訪ね、さらには膨大な量の本や資料を読み漁った。対象分野は、天文学、物理学、化学、生物学、地学、数学、医学、力学、地理学、文化人類学、博物学、分子遺伝学等、多岐にわたる。(中略) そしてその旅の成果を同じ門外漢であるわれわれ読者の前に惜しげもなく披露してくれたのだ。

もうここに謎はない、という分野は、たぶん存在しないのだろうと思う。「ひとつの疑問が解けると同時に、それはさらに大きな疑問を呼んでしまう」とは、どこの章に書かれた言葉だったか。でも上に挙げたあらゆる分野でそう言えるのだ。凡人にはわからずとも、それを研究してる人ならわかってるんだろうな、と漠然と考えてたことをきっぱり否定された感じ。あ~、あたしたちって、自分が本当に何者かすらわかってなかったんだなー、と。(哲学の話ではないですよ)

難しく堅苦しい本ではない。むしろ、ページをめくるごとに「へー、そーなんだー、誰かに教えてやりたいな」と思うムズケズ感が続く。
生物(微生物)の誕生を右手中指の先端としよう。そして両手をまっすぐ水平にしたあと、左手中指の先端が現在とすると、ヒト科の歴史は『やすりを2回かければ終わる』程度の長さでしかない。(種としての歴史はとても短い) 地球を取り巻く空気の層は、『地球儀を2回ニス塗りした程度』だ。巨大な隕石が地球に向かってるとしても、その前兆は何もない。『熱を帯びるまでは肉眼では見えないし、そうなるのは大気圏に突入してからで、そうなったらぶつかるまで1秒もない』からだ。これだけ科学が発達して、天文台がいくつもあっても、「わからない」のだ。

マクロの世界もミクロの世界も本当に「途方もない」。知れば知るほどそれがわかるというか。けれど、人は貪欲に「知ろう」と努力してきた。「世紀の新発見」は、常にと言っていいくらい、最初は見過ごされた。
『まずは無視、それから批判、否定、嘲笑。その過程を経てやっと「新発見」になる』
のだそうだ。無名のまま、あるいは他の者に横取りされて、失意のうちに舞台から去った学者、研究者は多い。本書で取り上げられなかったら、後世にも伝わってなかったのではないかと思われるような出来事もふんだんに書かれてる。化石についても火山についても、恐竜についても、天体についても、そして人についても。

いかにも人間的なエピソードも多いし、そこがまたおもしろい。13歳の現地人と駆け落ちしてしまったために研究が続行できなかったとか、いがみ合ってた考古学者2人が競い合ったために膨大な成果があがったとか、博物学に興味を示した甥に『世界中から好きなだけおもしろいものを集めて来い』と言ってまず博物館を建てた男とか。ニュートンもアインシュタインも登場するけど、彼らに劣らない異彩を放つ人々の何と多いことか。それだけでも読む価値がある気がする。ちらりとでも興味持たれた方、ぜひ。
あ、余談ですが、昨日は本書タイトルを間違えました、ごめんなさいね。

今日はバザー用のダン箱を2つ作った。それと、封筒作って手紙書いて、シゴト行っておしまい。も少し何つーか、「実りある」1日を過ごしたいもんだわ。








( ̄ー ̄)

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by yukimaru156 | 2017-11-07 01:56 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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