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  空母いぶき  2019年 日本

冒頭、ごく普通の日常生活の中に「そう遠くない未来」というキャプションが入る。「遠くない」どころか「いま」であってもおかしくない、と誰もが思うだろう。いままさに、海上のどこかで起きていても不思議ではないのではないか、と。

『これまでの訓練はこの日のためだったと思え!』
予告でこの下知を聞いたときから"観たいな"と思わせる映画だった。賛否両論を巻き起こしつつ建造された空母いぶき。それは「専守防衛」から外れるのか否か、戦争を否定する国にとって本当に必要なものなのか否か。
『戦後、戦闘で死んだ自衛官はいない、それが誇りだろう』
『それは違う。戦後、戦闘で国民に死者が出たことはない。それが誇りなのだ』
戦闘と戦争の違いは、国民を巻き込む状況に陥るかどうか、だ。
いぶきの艦長には空自のエースパイロット、秋津(西島秀俊)、副艦長に海自の生え抜きである新波(佐々木蔵ノ介)。防衛大同期の2人は、反目しているようでいて同方向を見ているともいえる。戦争を避けるための「戦闘」であるならば、国民の「盾」となる。盾であるならば、傷を受けるのもやむを得ない。

20✖✖年、クリスマスイブの前日。沖の鳥島の西方450キロ、波照間群島の初島に無国籍の武装集団が上陸。海上自衛隊はただちに第5護衛隊群に出動を命じる。その旗艦こそが戦後初の空母「いぶき」だった。そして彼らを待っていたのは、偵察機への攻撃と潜水艦からの攻撃。瞬く間に想定を超えた戦闘状態に突入する第5護衛隊群。

攻撃されたことで政府は恐慌状態になる。『自衛権を発動するべき』、その判断はいつなのか。死者が出たからか、だが反撃すれば確実に相手にも死者が出て、それは一気に「戦争状態」になることを意味する。
『俺たちは戦争することができる。だが絶対に「しない」!』
この映画、名言、名台詞のオンパレードだ。正確に書けないのが歯がゆいのだけど、「熱いけど冷静」な彼らの言動にはちょっと胸が熱くなったりもした。
『今日はクリスマスだ。我が国では、信じる神が誰であれ、等しく祝う日でもある』
終盤のこの台詞には、うんうん、と頷いた。この「信じる神が誰であれ」てのがイイよな。

艦長の秋津のハラの内がわかりづらいところがこの映画にまたちょっと違うスリルも生んでて、そこが良かった。ただの熱い男だったら中身もペラくなってた気がする。
『いまのは「気を緩めるな」て意味ですか?』
『ありがとう、と礼を言いに来たのさ』
そのわかりづらさが誤解を生んできたこともあるだろうとも思われるけど、気にしてない(と思われる)沈着さが頼もしい。熱さで戦争して欲しくないしね。

「いまそこにある危機」的な、いい映画だったのだけど(手に汗握るし、迫力もあるし)、ツッコミどころもなくはない。もとは「訓練中」のいぶきだから雑記者が搭乗してたのはヨシとしても、それが若い女の子ってどうなの? とか、そもそもキミの所属する雑誌は何関係なんだね? とか(まぁ、これがおっさん記者だったら「映画化許可」しなかったろーな、配給元が。客が入らないからとか何とか言って)、時折はさまれるコンビニシーンは必要? 無駄に緊迫感を削いでないか? とか。
記者が流した一瞬の映像が流出、拡散、はたぶん実際にその通りになると思われるのだけど、と同時に「フェイク、アンフェイクが入り乱れてさらに混乱するんだろうな」とちょっとフクザツな気分にもなった。そうなったら、その「見極め」てのは、どーしたらいいんだろね。

半分ほど書いたところで突然消えた…萎えた…てゆーか、堪えた。っとに、何をどうしたらいきなり消えてしまうのだろう。これは消えませんように!
昨日の、ばーちゃんの口癖については明日にでも。










(゜-゜)



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by yukimaru156 | 2019-05-30 01:43 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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