ハハの意見
話がそれた。つまりいつも開いてる部屋なので、ハハは好きなときにやってきてあたしの前に座り、ちょっと四方山話をしたり、あたしの作品を眺めたりしてる。
さすがに午前3時過ぎに『眠れない』と言って入ってきたときはびっくりしたけど(あたしはまだ仕事中だった)、でもハハの意見というのはとーっても貴重なので煙たがったりすることはない。
『いいわね、これ。すごく行きたくなるわ』
出来上がった原稿を見て、そう言ってくれる人がいるということほどありがたいことはないと思う。ひとりで根をつめてる作業は、ときとして「いいか悪いか」の判断がとても鈍り、考えるほどわからなくなってドツボに陥るからだ。苛立ちささくれ立ち、自分を責め、いっそのこと全部破くかとまで追い込まれる。これはいまの仕事に限らず「ちぎり絵」でも同じで、「いいんじゃない」の一言で過去何度救われたかしれない。そしてたぶん、今回ほどハハの意見や感想に救われたことはないんじゃないかと思う。
もちろん「身びいき」はたぶんにあるし、あたしもそれを承知の上で拝聴するのだけど、こういう会話すらなく「ひとりで戦ってる」人はいっぱいいるんだよな、と思うと「あたしってまだまだミジュクモノだよな」と思った次第。
全部に片がついて落ち着けたら、すーごい親孝行をしてやりたいなー、と思うんだけど、さて何ができるかねぇ。