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ルドンの黒 / カクレンボ

「ルドンの黒 目を閉じると見えてくる異形の友人たち」
渋谷Bunkamuraでの最終日。チケット屋はどこも売り切れで4件目にしてやっとゲット。入ったら凄い人でちょっとびっくりしたけど、若い連中ばっかで喋ってる人は皆無。これが印象派とか日本の大御所作品展だとオバサマたちの身勝手なお喋りがあってう~んざりするのだけど、ワカモノばっかだとこんなに静かなもんなのか、とまずは妙なとこで感心した。

1840年生まれのルドンは、印象派の画家たちと同世代でありながら、彼らがパステル調の色彩豊かな風景や人物で一世を風靡していったのに対し、ひとり「黒」にこだわった。彼いわく
『黒は、あらゆる色の中で一番本質的な色だから』
エッチングと木炭画の、黒い絵ばかりがおよそ200点余。「見えないものへの興味」が原点ともなっている彼の絵は、不気味さとユーモラスさ、そして不可思議な精神世界への扉になっている。
正直、彼の絵をあたしは2枚しか知らなかった。淡い色の風景の中、突如として山間から現れるひとつ目の巨人の絵(日本のでいだらぼっちの方がなんぼかマシ、と思う出来)と、大輪の花の絵。他に観たいとも思ってなかったのだけど、駅貼りのポスターの蜘蛛の絵と副題で俄然、行く気になった。この蜘蛛の絵、「トトロ」のまっくろくろすけにブタ鼻とピースマークの笑った口、長い蜘蛛の足をつけただけな生き物で、ジブリはこっから作ったのではないかと思うほどだ。案外そのとーりなのかも。

空に浮かぶ球体の目玉(このモチーフが一番多い)も、人と植物が一体となった絵も、異形ではあるけれど怖さはない。観念的な捉え方もいっぱいあると思うけど、これだけで楽しんだ方がいい。「何かわかんないけどいるかもしれない生き物」を作りたくなった。って、その前から作りたいと思ってたのだけど。
会場ではルドンのこれらの絵を3DCGでアニメ化して動かしてたのだけど、たかだか3分足らずのこのアニメがよく出来てた。これが終わったら岐阜のコレクションに加わるのかな。しかし最終日に薦めてもしょーがないよなぁ、残念。でもこれやってるのを知ったのはつい最近なのだ。7/28からやってたのに。

「カクレンボ」
05年 日本
ケーブルで「インディーズのアニメ作家特集」をやっていて、思わず見入ってしまったのがこの作品。30分足らずなのだけど、悪くなかった。(すごーくよかったわけでもない) 
「夜にかくれんぼをして遊んではいけない。本物の鬼がやって来るから」という民間伝承をあたしは知らなかった。でもホントにありそう。
舞台は日本古い路地裏のような、香港の九龍のような、台湾の繁華街のような、そんな場所。「夜、御常夜(おとこよ)サマの前に狐のお面をかぶった7人の子供が集まるとカクレンボが始まり、子供たちは帰ってこない」という都市伝説みたいなのがあって、興味本位(?)に集まった子供たちが、その神社のような「御常夜」に集う。

何がイイって、この子たちの狐のお面がいい。それぞれ表情がちょっと違ってて、お稲荷さんたちが集まった感じ。子供の顔は見えないけど(最後に誰か面を取るのかと思ったら、誰も取らなかった)、ちょっとした仕草で彼らの戸惑いや恐怖や悲壮な決意が伝わってくる。以前この遊びで妹が帰ってこなかった子が、このキケンな遊びの鍵を握るのか…と思わせておいてラストはちょっとだけ肩透かしだけど、登場する鬼たちがジャワとかインドネシアの鬼みたいでよいし、内容は乙一あたりが書きそうな、「ホラーアニメ」とくくりつつもそうとは言い切れない印象でよかった。もっと長くしていろいろ説明して欲しかったな。特集で4本のショートアニメをやったのだけど、これが一番だった。絵もキレイだし、動きもいいし、最後までお面を取らなかったのもよかったのかもしれない。
最近ちょっとアニメネタが多いな。まいっか。
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by yukimaru156 | 2007-08-27 03:18 | 行った観た読んだ | Comments(0)

ちぎり絵ざっか作家 さゆきの  雑記帳


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